くりいし

ザリガニの鳴くところのくりいしのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.0
美しい自然、ロマンス、そしてミステリー。
それらの調和が非常に印象的な作品だったと思う。

あらすじとしては
ノースカロライナ州の手つかずの湿地が残る片田舎で
殺人事件の容疑者として勾留された
主人公カイアの半生を裁判当日の様子と
時系列を交えながら追っていくというもの。

人間という社会構造に
窮屈さを感じ、相容れない僕にとっては、
家族に見捨てられ1人で湿地に取り残され
〝湿地の娘〟と町の人々に謗り、疎み蔑まれながらも、
動植物たちを愛し、自然の大きな円環の中で
生きて、死ぬことに悦びを見出したカイアには
共感を越えて一種の気高さのようなものすら感じた。
是非、あの湿気ってそうな環境でもツヤツヤの髪を保てるヘアオイル、
なに使ってるのか教えてほしい。

ちなみに、タイトルの「ザリガニの鳴くところ」は
カイアの母親が、家庭内暴力を振るう父から身を守るために
「危なくなったらザリガニの鳴くところまで逃げなさい。」
というセリフに使われている。
ザリガニって鳴くんだね!?と思ってしまったが
どうも鳴かないらしい。
それが何を意味するのか、詩的な思考の余地を残してくれているのも
気持ちの良いところ。
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