くりいし

無垢の祈りのくりいしのネタバレレビュー・内容・結末

無垢の祈り(2015年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

祈りは届かず、
世界は今日も残酷に、冷酷に、横たわっている。

多分、今まで人生で鑑賞した映画の中で一番しんどい気分になった一本。

仕事が忙しくここ暫く映画レビューどころか、
映画鑑賞すらできてなかったんですが、
とにかく辛い、胸糞悪くなるような暗い映画を観たくて堪らなくて、
本作にぶち当たりました。結論から言うと大正解。

とにかく母親の再婚相手クスオの演技が、
もーーーー本当にクズで、気持ち悪くて、最悪で、最高でした。
映画全編を通して、これって決して凄惨な絵空事(フィクション)とかじゃなくて、今こうして僕の生きている世界のどこかで、こんなショッキングなことが実際起きてるんじゃないかって、
そう思わせるリアリティをビンビン感じるんですが(実際にそうした事件は毎日どこかで起きている…)、
多分4割強くらいはクスオ役のBBゴローのおかげなんじゃないかなーとか勝手に思ってます。
あと映像もすごいカッコイイんですよね。
灰色じみたフィルム効果の田舎町や、うら寂れた歓楽街、
そして鉄筋で囲われどこへも行けないことを示唆するような工場コンビナートたちと少女の構図。超イカします。
時間軸や、人称視点の歪みも狂った世界観にあってて非常に良き。
これは原作準拠なのかな??

でも特に、
ただでさえ、救いがないフミちゃんの最後の希望だった
母親にすら「死ねばいいのに」と思われた事を知った後に、
「殺してくださぁああい」の叫びがとても悲痛で印象に残った。
それが、なんの罪もない小学六年生の女の子の無垢な祈り。
本作のタイトルの意味を知って始まるバイオリン演奏のエンディング。
ちょっとこれは完璧なのではないでしょうか…。

というわけで、僕個人的にうわちょっとこの映画すごいぞみんな!みてほしい!となったんですが…
人に薦められるか!!!
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