むらむら

赤い糸 輪廻のひみつ/月老 また会う日までのむらむらのレビュー・感想・評価

5.0
「台湾でも『エモい』映画撮ったるぜ!」

という意気込みで撮られた作品な気がするが、出来上がったものは「エモい!」というより

「キモい!」

になっている怪作。さすが「怪怪怪怪物!」のギデンズ・コー監督。ファン(俺)の期待を裏切らない変な作品。「I LOVE 台湾」イベント上映で鑑賞。

※「怪怪怪怪物!」の感想は以下を御覧ください
https://filmarks.com/movies/76529/reviews/96455096

開始一分で、雨宿りしてたら雷に打たれて死ぬ主人公の青年・アルン。

まずこの雷に打たれる描写がCG全開で最高。なんか木が急激にエルデンリングの黄金樹みたいになってるし。シャンデリアじゃないんだから、雷って、そんなにビカビカ光らんやろ。

冥界に行ったアルンくんは、冥界の役人に面接され、人間界に戻るための修行をするハメになる。

どーでもいいことだが、この世界の冥界、「中国と戦争でもしたの?」ってくらい若者だらけ。こんなに若者死んでたら、中国政府はガッツポーズしてるんじゃないか。

そんな中で、コンビを組んで、人間の縁結びを手伝う「月老」になったら、人間界に戻れるチャンスがある、という設定を思いっきり言葉で説明され、アルンくんはピンク色の髪をした女子高生・ピンキーちゃんとコンビを組むことに。

ここで「誰がお前なんかと!」「私だって願い下げだわ!」的な、懐かしすぎて新しいんじゃないかと錯覚しそうな昭和なラブコメが入るのはお約束。ファン(俺)としては、このベタベタな展開が、ギデンズ・コー監督で、とても心地よい。

その後、人間界に戻ったアルンくんは、雷に打たれて失ってた記憶を、以前、飼っていた犬を見かけることによって取り戻し、かつての幼なじみミーちゃんのことを思い出す。

ここからは幽霊(月老)アルンくんと人間ミーちゃんのスレ違いラブコメ。

「この設定、『ゴースト ニューヨークの幻』を思い出すよなぁ……」

と考えながら観ていたら、まんま「ゴースト ニューヨークの幻」やんけ! 的シーンが満載。

だが、そんなベタベタな展開をひねりもなく披露するところが、ファン(俺)にとっては堪らない。最高!

ここまで読んでると、「まぁ普通のラノベみたいなラブコメやんけ」って感じてしまうかもしれないが、さにあらず。

なぜか500年くらい冥界を彷徨っているよく分からないオッサンが出現し、ファミレスとか駐車場とかで陰陽師ばりのバトルシーンが挟まれる。

「えーっ、その超展開、必要??」

と仰天してると、さらに要所要所に挟まれるのは、不必要なホラー演出。

急にヒロインの脳天に槍みたいなのが突き刺さったり、ゾンビみたいなのが現れたり、恋愛映画を期待したカップル(俺じゃない)を裏切る演出が挟まれる。

そして、ギデンズ・コー監督といえば、やはり出てきたのが「日本の変態AVマニア」としか思えない不必要なエロ描写。

「怪怪怪怪物!」で思う存分、変態描写をカマしてくれたときは

「『怪怪怪怪物!』ってより、この監督、『変変変変態!』じゃないの!?」

とギデンズ・コー監督のことを警視庁変態課に通報したくなったもんだが、今回も、多少控えめとはいえ、「スキあらば変態描写」の性向は変わっていない。

さすがに「怪怪怪怪怪物!」の「女教師脱糞シーン」ほどの大ネタは無いものの、

・赤い糸でヒロインをグルグル巻きにする
・小学生に浣腸
・原チャリとセックス。映画「チタン」かよ!
・便器から顔をだすアルンくん

などなど、「お前、これ絶対趣味入ってるやろ!」というシーン満載。特に「便器が出るテレビ」みたいなアルンくんの描写は、完全に監督の趣味の域に入ってるよね!

クライマックスではなぜか「呪怨」から俊雄くんと伽椰子さんがゲスト出演してるし、半沢直樹ばりの前後脈絡のない土下座シーンはあるし……ごった煮すぎて、ホント、何がやりたいのか全く分からない。

絶対、俺がカップルで「エモい」映画を求めて観に行ってたら、終演後に大喧嘩。見事に破局する自信ある。これ、プロデューサー、売り方分からなくて、頭抱えてるだろうなぁ……。

でも、ボッチ鑑賞の俺は最高に楽しかった。

ギデンズ・コー監督、変態ぶりが全くブレてなくて、サービス精神旺盛で、ちょっとだけグッとくる恋愛描写が挟まれる。徹頭徹尾、ボッチ(俺)の味方だった。

なので、ギデンズ・コー監督は、ぜひこの路線を極めて頂き、次は、

「アクメ自転車に乗った女優たちが、マジックミラー号に満載のゾンビ男優たちと、超能力で大バトルする」

みたいな、誰からも

「エロい!」

と絶賛される新作を、DMM資本にて作ってほしいです!

(おしまい)
むらむら

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