回想シーンでご飯3杯いける

リバー、流れないでよの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
4.0
「サマータイムマシン・ブルース」の原作や、「四畳半神話大系」の脚本で知られる京都の劇団、ヨーロッパ企画による長編劇場作品の第2弾。

今回もお得意の時系列系で、同じ2分間が何度もループするという話。決して予算が芳醇という訳でもなさそうなのだが、彼らの本拠地である京都の旅館街を舞台にして、画的な映えは格段にアップしている。京都で多く見られる1階が玄関で、勝手口が川沿いの地下1階という、迷路のような舞台構成が、物語のワクワク感を倍増していて、登場人物を背後から追うカメラワークを見ているだけでも楽しい。

同じ2分の繰り返しでも、焦る人、混乱する人、楽しむ人等、反応は様々。人生に於ける2分の価値を問う、前半のコミカル且つ文学的なノリは、京都の大学を発祥とするヨーロッパ企画らしい。そこから、ストーリーがどういう風に展開するかは見てのお楽しみだ。

小規模作品でありながら、大阪駅周辺の大手シネコンで1ヵ月のロングラン上映。観客が声を出して笑いながら観るその雰囲気は、お笑いや音楽のライヴに近い。こういう映画の楽しみ方があっても良いと思う。「カメラを止めるな!」の時を思い出した。