しんご

ミッション:インポッシブルのしんごのレビュー・感想・評価

3.9
「ローグ・ネイション」が公開されるまでM:Iシリーズで一番好きな作品が本作だった。

公開が1996年なのでコンピューターや諜報アイテムが非常に時代を感じさせるし、また続編にある様な複雑なストーリー性も無い。それにも関わらずここまで観客を釘付けにする魅力を本作が放つのは、ブライアン・デ・パルマ監督によるマジックとも言うべき演出に依る所が大きいと思う。

序盤におけるキトリッジによるイーサンの尋問シーンからの本筋への引き込み方がまず素晴らしい。イーサンとキトリッジの顔がアップの仰角で交互に写し出される撮影法は観る側にただならぬ緊張感を与えるし、その緊張感があるからこそイーサンが水槽を爆破して逃げるシークエンスに何とも言えない開放感がある。

そして今さら言及するまでもないが、IMF本部にイーサン達が侵入するシーンの興奮度を続編では未だに越えられていない様に思える。「手始めにフォート・ノックスをやろうぜ」とのジャン・レノのジョークは本部の難攻不落さを観客に伝えるお洒落な演出だし、肝心のミッションもとにかく手に汗握らせる。最後の最後にナイフが落ちて机に刺さるシーンは誰もが「あー!」と叫んだのでは。

「これが娯楽映画なんだよ」という製作者の意図を余す所なく描き切った痛快な映画。余談だけど、ウクライナの映画はちょっと観てみたい笑。
しんご

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