しんご

ウルフ・オブ・ウォールストリートのしんごのレビュー・感想・評価

4.2
アメリカの元株式ブローカーであるジョーダン・ベルフォートの半生を描いた『ウォール街狂乱日記 - 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を基にした作品。凄いのはスコセッシ監督がこれ撮った時に70歳くらいだったという点。演出のキレがおじいちゃんとは思えないくらいスピーディーで、3時間の長尺も全然飽きなくて流石だなと。

「狼」の文字通り、お金、女性、ドラッグに向けて欲望むき出しにするほぼ動物の男ばかり登場する本作は、世間でいうコンプライアンスを爆笑しながら蹴飛ばすような下品さが一番の特徴。職場、エレベーター、飛行機etc...普通に生きていたら一生見ない光景しかなく、これが「男の夢」だと一括りにされても心外だけど、アメリカの桁違いの世界の一部を垣間見た気がした。「垣間見た」くらいでよくて、自分の周りにこんな奴がいたら相当にキツいけど。

途中ジャック・ニコルソンにも見えるディカプリオが圧巻でこの作品で特に好きになった。好感度高いイケメン俳優が「初の悪役に挑戦」等のレベルではなく、本当にやばいサイコにしか見えないのが凄い。あの薬物でラリってるシーンは本当に演技?…そりゃずっと売れるわなこの人は。ジョーダンの会社めちゃくちゃブラックだけど、社員を鼓舞するあの演説シーンは熱くなった。また、シリアスな中に挟み込まれる笑いがいい。個人的には序盤ちょっとしか出ないマイペースはマシュー・マコノヒー(凄い印象的だった)と、後半のポパイのシーンは笑った。いずれもカオス過ぎて何でだよと笑。

展開は必罰主義だけど、マネーゲームというよりはウォール街を舞台にしたぶっ飛んだコメディとして観る映画。
しんご

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