岩嵜修平

ショーイング・アップの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)
3.7
劇場鑑賞2作目にして、もうケリー・ライカートの大ファンだ。なんだ、この人間そのものを映しとる映画は。説明的な表現は何一つない。ただ、彼女たちが生きている姿を映しとるだけで豊かな映画になっている。牛映画に続いて鳩&猫映画でもある。常に不機嫌な主人公描写も良い。

芸術家一族(父母は離婚済&兄は天才肌を超えた狂人)に生まれた主人公が、母が務めるポートランドのアートカレッジに通い、才能あるアジア人と、ほぼ共同生活中みたいな設定が絶妙。100分くらいは主人公が不機嫌で、ちょっと嬉しいことが有ってもすぐに落ち込むを繰り返すのだが、ラストの美しさよ…!

なるほどミシェル・ウィリアムズがケリーのミューズというのも納得。誰にも愛想を振り撒くことなく、常に何かに苛立っていても画面が持つ。「ザ・ホエール」でも印象的だったホン・チャウも新たな一面が。「ファースト・カウ」に引き続きのジョン・マガロも短時間で圧倒的な存在感。彼と鳩に泣いた。
岩嵜修平

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