ロバ。驢馬。
馬ほどの輸送能力はないけれど生命力というか手間要らずで繁殖され生存している種なのかな。
繁殖し過ぎれば乱獲され、減り過ぎれば保護されるような、人間の都合でいかようにもされてしまう都合のいい、生産体系に組み込まれた存在。
玩具、信仰?、輸送、生産、食料。
代替の力として、或いは食の対象としていかようにも扱われる驢馬、ロバ。
おそらく草食動物のつぶらな瞳を介して映し出されるものは自分自身の今の思考のような気がしてならない。
サーカスで生まれ育ち、飼育員に愛され、保護団体に開放だけ約束され不遇とも数奇ともいえる行く末を辿るロバの生涯を見遣りながら、大いに思考を張り巡らせる有意義なひと時が過ごせる作品だった。
飼いならす。
そんな本を手にした矢先の鑑賞だったので、飼育されること、商品化されること。
あるいは種を存続、生き延びさせるために人間に飼い慣らさせたのか…そんな繊細かつ複雑な生態系にある動植物に思いを馳せるひとときになった。