Jun潤

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのJun潤のレビュー・感想・評価

3.0
2023.08.18

予告を見て気になった作品。
近未来を舞台にしており、予告的にはホラーかスリラーというよりグロテスクものの感じが強め。
もはや定期ですが頼むからビビらせにはこないでくれ。

近未来、人類が痛みを克服した時代。
「加速進化症候群」により体内に新たな臓器が生まれてくるソールは、その臓器を助手のカプリースに摘出させる行為をアートとして昇華させ、注目を集めていた。
政府は、進化していく人類の臓器を管理するために臓器登録所を、そうした進化を不当に扱う犯罪を取り締まるニューバイス課を創設した。
そしてソールの元に、プラスチックを消化できる器官を持ち、その異常性から母親に殺害された少年の、解剖ショーの話が持ちかけられる。

う〜ん、なるほどなるほど、、。
これはなんというか、アート的な知見がほぼ無かったためか、今の僕の理解は及ばなかった…。
…いやとはいえちょいと説明不足過ぎじゃあなかったですかねえ。
アート的な知見に関しては本当に申し訳ない限りです。
しかし最低限作中で描かれた時代の倫理観や死生観、法制度がどこまで整っているのか。
どのぐらい現実世界と一緒なのか違っているのか。
セリフで説明するなり場面で描くなりして欲しかったです。
でないと今作で描かれたものが異常なのかどうか、描かれたのは狂気的な人間か正常な人間か、人類の進化が行きつく希望なのか絶望なのかを判断できかねますね。

作中の描写をさらってみると、さすがに殺人はNGで、人類の進化を管理するために登録所があって、その裏で密売みたいなことも行われていてと、社会構造は現実世界と大体共通なのかなというところ。
個人的に気になった点としては、痛みの克服という点についてですかね。
健康的な問題は置いとくとしても、自分が痛みを感じない、他人に痛みを味わわせられないとなると、だいぶ犯罪の定義が揺らいでしまうのではと思いました。
それに作中でもサラッと触れられていましたが、心的外傷まで克服したとなるともういよいよですよね。

やはり何が足りなかったかって、国家だったんじゃないかと思います。
描かれるのは屋内や地下のみで、外に出たとしても大抵夜、もしくは路地裏とかのアングラ周辺。
アーティスティックな側面の方が強い作品だということはなんとなく伝わってきましたが、そうはいっても芸術と社会には何かしら繋がりがあると思っているので、一般の人々の営みなどの場面が描かれていたら、もう少し評価というか、作品的に良い観方ができていたんじゃないかと思いますね。
Jun潤

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