みーちゃん

クライムズ・オブ・ザ・フューチャーのみーちゃんのレビュー・感想・評価

4.5
理知的で洗練されているなぁと感じた。観た後、誰かの考察で補完したいなんて思わないし、見た通りに受け取ればいいとも思えず、この映画は自分なりに深く考えた方が楽しめると思う。だから鑑賞中はクローネンバーグについて行きたかったし、一度では理解できないので、次に観たらまた発見があるはず。

特に、人類が自ら産業廃棄物を主食にするという発想からの、先天性と後天性の関係、肉体的と精神的な痛みの対比が興味深かった。俯瞰すると、プラスチックを食べる少年はモンスターではないし、ソールのあの症状も病とは言えない気がするけど、愛するが故に既成概念に当てはめて対処したい気持ちも分かる。

進化、退化の意味についても考えさせられた。その過程で生じる変化を受け入れるのって難しい。孤独でありながら自分だけの問題じゃなく、大切な誰かを巻き込むことにもなる。だから限界まで抗い葛藤する姿が人間的で、美しくて、苦しくて、滑稽で、あんなにセクシーなんだと思う。