みーちゃん

波紋のみーちゃんのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
4.0
このストーリーをこんな風に描写できるなんて感心する。なかなか深くて鋭くておもしろい。

前情報を入れずに見たので、途中までは光石研に殺意を覚えたし、フラストレーションが半端なく、どこかで誰かが爆発して殺人事件でも起こるのか?と思った。

全ての登場人物に少しずつ映画的なデフォルメを施すことで、逆に全員をリアルに感じる不思議な感覚。差別、ゴミ屋敷、スーパーのクレーマーなどのエピソードも的確だなー。

◇ここからラストに触れます◇


私は、夫が倒れた後、依子は1日3滴しか採取できないという聖水を購入したと思う。父の病床で磯村勇斗が使っていた"吸い飲み"の中身はそれじゃないかな。修も分かっているから、あの言葉を呟いた。そこからの脱会、ふっ切れ感(やり切った感)に思いを馳せると興味深い。踊りながら自宅の敷地から一歩外に踏み出す演出は、ベタといえばベタなのだけど、そんな文句を跳ね返すような力技の着地点だった。