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ガザ 素顔の日常のhiyoのレビュー・感想・評価

ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)
4.0
2024年初映画。
繰り返し映し出される海は、開放的なイメージに見えて、その実5km先はイスラエル海軍が封鎖しているため、狭い範囲では魚も獲り尽くしてしまって漁も成立しないという、不自由さの象徴になっていました。
獲れても小魚ばかりで、大家族が多いガザでは一日の食料としても不足。
しかも、子どもたちが楽しそうに泳いでいたそのビーチは、2006年からのイスラエルによる封鎖に伴う電力不足で、下水処理が追いつかず汚染され、濁っている。

「天井のない監獄」どころか、現在は「絶滅収容所」そのものと化しているように見えるガザで、それでも前向きに生きている人々と、イスラエルへの不満を分離壁にぶつけて負傷する若者が交互に映し出されて苦しかった。

彼らが望む「普通の生活」「命を脅かされる心配がない生活」が、なぜこんなにも「難しく」されているのか。
ガザの人たちには、一人ひとりに名前があり家族がいる、わたしたちと同じ人間なのだということが伝わりました。


2019年のこのドキュメンタリーの中でさえ、撮影中にイスラエルからの攻撃で破壊された街の様子や殺された人々に対する悲嘆があふれていました。それが50日間に2200人の犠牲。この被害だって尋常じゃないのが伝わりましたが、現在の3ヶ月で3万人近くの犠牲は、ほんとうにもう言葉を尽くせない凄まじさだと思い知りました。
取材されていた人たちは、いま無事でいられるのだろうかと思わずにはいられませんでした。

映像のどこを見ても子どもの姿があって、人口の約半数が子どもであるということを実感するとともに、そんな場所にあれだけ激しい空爆を行えば犠牲者も半数は子どもになるのは目に見えていると思いました。
本当に、今すぐ停戦して欲しい。
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