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ブラインドマン/タイタニックを見たくなかった盲目の男のhonobonのレビュー・感想・評価

4.0
フィンランド映画祭にてヤニ・ペセさんのティーチ・インつき。

こいつ、タイトルのインパクトで当然見に行っているな。というのが目に見えている作品だけど、"だから"良かったんだよ。

主人公のヤーッコは盲者であり、多様性硬化症で胸から下が動かせない。したがって、車椅子生活を強いられている。演じているペトリ・ポイコライネンさんも実際にそれぞれを患っていて、彼を主役にこの作品を作り上げたい一存で3週間で資金調達と撮影に駆け回ったほどに進行の早い病だそう。

この作品はその病ではなく盲目の男として進んでいくのだが、ヤーッコだけにピントがあって周りはぼやけている。『ナイトクルージング』はドキュメンタリーなので加藤秀幸さんの周りの人もフォーカスされているが、この中で流される冒頭の『GhostVision』がこの作品に一番近いのだろうか。
(ジョン・カーペンターはどうかはわかならいけど加藤秀幸さんもアクション映画が好きと言っていたな)

看護師いじりを始め、『ターミネーター』も『エイリアン2』も好きだけど、『タイタニック』は駄作と言い切るヤーッコの映画好きぷりがキャラクターとしていい感じ。

視覚を失った人特有の視覚に頼らない聴覚や触覚、空間の把握に長けている。だからこの作品でも必然と音が繊細になっている。

あれよあれよのように動かなかった流れが後半一気に動き出し、ラストに思わず「あっ」と声が漏れそうだったとてつもなく素敵な終わり方。


この作品で一番苦労したことは?の質問に対して「ペトリをヴェネツィアに連れていくこと」というのは見事。
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