えむ

ミセス・ハリス、パリへ行くのえむのレビュー・感想・評価

4.3
上映が減ってるなか、滑り込み、間に合ったー!

ヤバい、これはなんという幸せ映画だ!!
いきなり私の「おりに触れ見返したくなる映画」のトップランキングに入ってきましたよ!!

戦争で夫を亡くしたロンドンの透明人間(生活に溶け込んで忘れ去られる存在・家政婦)のハリス夫人が、仕事先で美しいディオールのドレスに出会い、それを持つことを「夢」にして奮闘、お金を貯めてパリのメゾンディオールに乗り込む。

オートクチュール専門だったディオールでは、一介の労働階級者のハリス夫人は順風満帆にドレスを作れるわけではなく、いざこざは起こるけれど、それでもやっぱり全部のトーンが幸せカラー。

困ってるところに手を差し伸べてくれる人や励ましてくれる人がいたり、恋が実るのを目の前で目撃したり、仲間のように人と心を通わせたり、そんな日常の中の幸せが、ドレスを彩るレースやリボンやビーズのようにキラキラと輝いている。
それこそ脳内で「好きな人が優しかった、Peace!」とモーニング娘。が歌いだすくらい。

心に刺さる映画、響く映画、感動で震える映画は他にもあるけれど、こんなにもシンプルに「幸せで涙が出る」なんて貴重な体験させてくれる映画はあまりないんじゃなかろうか。

矜恃があって対抗する人はいても、狡い人や誰かを騙そうとする人は居ないのがもうそれだけで幸せだし、何よりハリス夫人がチャーミングすぎる。
観客含め、皆がひと目で好きになっちゃうのは、理屈じゃなくて彼女から溢れ出す善良さと朗らかさのせい。
努力して得たものでなく、まさに天然もの、本物で一切のウソがないからだ。

もう、途中途中でハリス夫人と一緒に喜んだり落ち込んだり、幸せでジャージャー泣いてしまったよ。
何でこんなに泣くほど幸せなのか不思議なくらい。笑
(そんなに周りの狡い人に苦労してきたのかって?イエス!笑)

ドレス焦がしたあのガサツ女子は許せんが、そのお陰でロンドンに帰った後もディオールの面々が夫人との繋がりが残っているのが分かったのは嬉しかった。

元気がちょっと陰った時、時々見返して幸せな気持ちを取り戻したい、そんな映画でした。
えむ

えむ