グラビティボルト

ダークグラスのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
3.5
あまりの職人監督的な端的さ、画面から伝わる自意識の希薄さに狼狽えてしまった。悟りきった作家によるれっきとしたジャンル映画。
ジェームズ・ワン、エドガー・ライト、レフン辺りから過剰な画面装飾と凝った語りでラブレターを送られたアルジェント自身からはこの回答か。

あの、孤独にしゃがみ込む女性を捉えたラストショット、ただそう在る、そうなった人を撮ってるが如き淡白さが凄い。
見終わった後に語りたくなるとか、そういう言葉を誘発する批評的な映画作りに全く興味無さそうな見心地は、中々狙って出せるものじゃない。
ある種の過激派、過剰なバイオレンスと照明をトレードマークにしてると思っていたアルジェントが、この老練とも言える映画を撮っちゃうの、面白い。