Takumi

ファンタスティック・プラネットのTakumiのレビュー・感想・評価

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「この映画ヤバい」そんなタイトルのYouTubeをなんとなく見ていた時に紹介されていた今作。ずっと気になっていたが、ようやく鑑賞。

舞台は、青い巨人・ドラーグ族に支配されたどこかの惑星。この星では、人間はドラーグ族から虫ケラのように扱われている。主人公の人間・テールは、赤ん坊の頃に母をドラーグ族に殺されて独りぼっちになるが、ドラーグ族の少女・ティバに「ペット」として拾われ、生き延びる。成長してティバのもとから逃げ出したテールは、人間たちの集落と合流し、やがてドラーグ族との戦争に加わることになる。そんな話。

今作はSF映画に分類されるが、同時に戦争映画でもある。ドラーグ族が人間根絶の為に毒ガスを撒いて殺戮していくシーンは、明らかにユダヤ人の大量虐殺と重なる。因果応報という言葉があるように、戦争の代償は回り回って返ってくるということだろう。

戦争映画は「どちらが勝つか」が気になるところだが、今作は一味違う結末を迎える。人間の反撃にあったドラーグ族は追い詰められ、人間と和平協定を結ぶ。つまり引き分け。人間は新たな星を与えられ、そこに定住するようになる。

平和そうに見えるこの結末だが、これは「共存」ではなく「決別」である。これからこの二つの種族は、永遠に別々の道を歩んでいくことになるのだろう。これはとても悲しいことであり、これこそ戦争の真の代償なのだと思う。
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