こたつむり

ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のことのこたつむりのレビュー・感想・評価

2.6
♪ ロール アンド ロール
  旅立つのは少し怖いけど
  不完全な筋書きでも強く響く声

「原作と同じじゃなきゃダメですか?」
と訊かれたら「いいえ。そんなことはありません」と答えます。エンタメは「面白いものが勝ち」。改変が良い方向に作用していれば問題ないのです。

そして、本作の場合はどうなんでしょうか。
僕は原作未読なので、何を改変したのか、何が原作の骨子なのか…という部分が分かりませんが、劇中で“小骨”になって喉の奥に引っ掛かったのは、改変部分じゃないのかなあ、なんて思いました。

例えば、サメゾンビ。
これを出したいがために、主人公の目的地を水族館に設定したんでしょうが、そこを少数の傲慢な人間が“武力に頼らずに”支配している…という展開に無理を感じました。

その辺りの考証が浅いんでしょうね。
映画は尺が限られているから描けない…という理由も分かりますけど。描かない部分まで煮詰めてあれば自然と説得力が生まれると思うんですよ。

それは人物の造形も同様。
ヒロインであるシズカさんの描き方が典型的なツンデレなんです。会話の途中でいきなり自分の名前を言う…とか、切羽詰まった場面で心の内を叫ぶ…とか、縄文時代の演出かと思うレベル。

これは原作に準拠…したのかなあ。
マンガだったら瑕疵にならないかもしれませんが、実写化するならば、現実に寄せた演出のほうが良いと思うんですけど。

後から知りましたが、原作では外資系金融に勤めている設定だとか。だから、リスクを厭い、効率優先の性格だったんですね。その設定を少しでも描いていれば奥行きが生まれたのに。残念です。

まあ、そんなわけで。
邦画の悪い部分が目立った作品。
ビジュアルだけは頑張っていたので(製作がネトフリだけに予算は潤沢だったのでしょう)そこを楽しめば良いのだと思います。あとは俳優さんを楽しむ方向かな…個人的にはそれも微妙なんですけど。
こたつむり

こたつむり