ベビーパウダー山崎

イコライザー THE FINALのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
3.5
アントワーン・フークアこそアメリカ映画の数少ない良心だと、俺と松田聖子だけは信じているので、今作もモチロン外れ無し。前から書いているが、トニー・スコット的な娯楽映画を撮れるのはフークアしかいない。今作は『マイ・ボディガード』コンビが復活していて、なにか繋がったと言うか、俺の妄想もあながち間違っていないと嬉しくなった。
のどかな街並みと手加減なしの残虐描写がイタリア(映画)の特徴だと思っているようなフークア。切り取られた首がゴロリもある。人間の温もりと冷淡で底なしの恐怖、対極にある表現が交互に映し出されていくが、それが作家としての野心や嫌味に見えないのが流石というか、映画(娯楽)の手段として必要に応じて描いているだけなのが清い。
ハードボイルドなシリーズモノの定石は踏まえつつ、痛みや憎しみは容赦なく尖らしていく。アクションに全振りしてバカ騒ぎすることを選ばず、サイコホラーのように地味にねっとりと殺人鬼なみに次々と殺していく正しい続編。どちらが良い悪いではなく『ジョン・ウィック』シリーズとは真逆のアプローチ。
人殺しでも、とにかく芝居がうまいデンゼル・ワシントンに助けられている部分は当然あるとしても、秋の夜長にじっくりと堪能できる大人の映画。