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怪談生娘吸血魔のくりふのレビュー・感想・評価

怪談生娘吸血魔(1960年製作の映画)
1.0
【美肌アトミック!】

アマプラ見放題にてイカモノ食い。邦題は大蔵映画感満々だが、モノは1960年のイタリアン・レトロホラー。

英語吹替の編集版で、タイトルが“ATOM AGE VAMPIRE”となっているのを見た。

50年代の核実験被害から、ようやく核の恐怖も浸透が進んだようで、本作の場合、原子力に依る再生医療がネタで、マッド・サイエンティストが使い方間違えるって話。

が、そもそも制作者が使い方間違えていて、広島の被爆者をネタにしている。まぁ当時のイタリアで、こんな映画作っている連中が日本人に配慮するとは思えないが、減点という態度で、この過去の暴挙には抗議を残しておきたい。

内容は、便乗デフォのイタリア映画らしい。タイミングが『顔のない眼』公開後で、アレにモンスター加え、ノワール和えにしたかんじ。

皮膚を継ぎ接ぐ物語とはいえ、映画そのものが継ぎ接ぎなのはメタを狙った?…ワケはないよな。

あのモンスター、そもそもこの物語には要らんよね?

美点は、女優さんが美女揃いってこと。ヒロインを眺めているだけで、その点はお釣りが来る。

ルッキズム上等の時代感覚に戦慄wしつつ、美醜を際立てる映画だからこそ、美女が必要だったのかと。ヒロインがブスなら娯楽映画の物語としては地味だもんね。

…とみると結果的に、観客のモンスター度が際立つって意味からは、現代視点でも善きホラーかと思うのです。

美女の“変身”がストップモーション・アニメで撮られており、シュヴァンクマイエルもびっくりだ!当時としてはリーズナブルだったらしいが、驚くほど効果を上げており、飛び抜けて心に刻まれました。

<2024.7.26記>
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