2022年の韓国映画。韓国で実際に起きた事件、加湿器殺菌剤事件を基にした社会派ミステリ作品。主演は、『殺人の追憶』のキム・サンギョン。
韓国映画らしい力強い作品性。悲劇は何故起きたのか。そこに焦点を当て、問題点を世間に広く知らしめる内容。二度とこのような悲劇を起こさないためにも、本作のような作品が必要であると感じさせる。タイトルだけ見ると安っぽいイメージがあるが、内容は骨太で上質。熱いメッセージ性とキャストの熱演とに感動を覚える。韓国で起きたとんでもない事件だが、起きた背景を考えれば他人ごとではない。利益ばかりを追及し、他人のことなどお構いなしの人間はどこにでもいる。それが引き起こす危険性を我々も直視するべきなのだ。
主人公を演じるキム・サンギョンの誠実さと、義理の妹で裁判では検事として戦うイ・ソンビンの凛々しさとが印象的である。企業側はあの手この手で裁判の妨害工策をしてくるが、それに負けずに正義感を持って戦う姿に心打たれる。演出としては少々過剰な部分があり、あざとさを感じるシーンも少なくはない。それでも泣けてしまうくらいに力強い作品性。役者が下手だと一気に白けてしまうが、そうならないのもさすがだ。
映画は約2時間の内容であるが、実際には事件が解決に向かうまで26年という年月が経っている。多くの人が被害を受けた事件。それだけに劇中の最後の言葉も重みが違う。意義のある作品であった。
