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ブロンドのakihiko810のレビュー・感想・評価

ブロンド(2022年製作の映画)
3.7
マリリン・モンローの伝記映画

幼い頃から錯乱した母親の育児放棄によって壮絶な体験を過ごしてきたノーマ・ジーン。 大人になり、ピンナップ・ガールのモデルとして活躍していた彼女は映画業界に羽ばたくことを夢見る。 その感情の背景には、かつて母親から教わった自分の父親だという男の姿があり、家族愛を欲するノーマは映画の世界に吸い寄せられていく。

実話ベースでなく、伝記小説ベースらしいが。(たとえ実話でなくとも、個人的には、許容範囲の脚色だと思う)
本作の評判はかなり悪く、Filmaksでも点数は低い。これは必ずしも「映画の出来が悪いから」ではなく、「性的暴行や流産、堕胎など過激なシーンが多いことから、“彼女の痛みを搾取している”といった批判が視聴者から殺到」とのことらしい。
私は“彼女の痛みを搾取している”といった批判に与すことはしないが、そういう主張も理解はできる。
マリリン・モンローという人間の生きざまを描いたという本作の場合、あまりにも「彼女の心の闇」にばかりフォーカスしすぎだと思った。彼女を取り巻く現実が過酷なものであったのは多分事実だったのだろうけど、それでももっと生の「暗闇の中の一縷の光」に焦点を当てるべきだったように思える。
単純に、テーマの選択や配分を間違え悲劇性を強調するあまり、映画の「劇的な感動ポイント」を損ねたと思う。
映画としては「傑作にはなり損ねた」感があるものの、主演女優や制作陣の挑戦がわかる作品だとは思った。
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