「結婚とか興味ない？自分もそうなんです！」 おお？
「今は仕事の方が大事で、恋愛とかしてる暇ないし！」 ああ、そこは自分とは違うな…
「わかってるよ、あなたってレズなんでしょ」 いや、全然わかってねえし…
わかってくれそうでわかってくれない、もしくは全然わかってないのにわかってるつもりになられる。
自分が労力をかけずに理解できる範疇でしか他人のアイデンティティを認めようとしていない。そんな人間の悲哀、そこで消耗させられ続ける主人公の姿。
自分はアセクシャルではないが、この映画のあらすじを読んで、主人公にどこか自分を投影しながら観たい、そうすれば何か得られるかもしれない、という気持ちになったから観に行ってきた。
ラストはそう落とし込むしかないかなという終わり方で意外性はなく、すこし物足りなさも感じたものの、自称「世間にわかってもらいにくい族」の自分としては共感するエピソードが多々あって見入ってしまった。
前田のあっちゃんが父親にブチ切れるとこ、
マジョリティの人による勇ましすぎる代弁にも自分は気後れを感じる。
しかし、他者を「理解」することができない中で、最大限できることがあるとしたら、ああいう行為なんだろうとも思った。
