ばふらー

そばかすのばふらーのレビュー・感想・評価

そばかす(2022年製作の映画)
4.5
すごく良かった。
何が良かったのかを人に説明できない、とも思った。

他者に対して恋愛感情を抱いたことがないという佳純。彼女の視点から見る、周囲との違い、その息苦しさ。(この感じ、知ってる)と何度か思った。
個々が抱いている価値観に優劣は無いのに、他者から主観的な判断をされることがある。佳純に対して、アセクシュアルを否定する男性、婚姻制度にこだわる母、特定の性的指向にカテゴライズする妹。各々が自分の中の常識に当てはめ、意見を押し付ける。
少数派として理解を得られないとわかっているから、説得する気はない。あまり主張しない佳純だが、真帆と再会し、彼女の活発さにつられて能動的になっていく。全て上手くいく訳では無かったが、紙芝居は支えになってほしい人には届いた。伝えようとしたことは、無駄ではなかった。

他者に愛を尽くすということは、決して恋人や家族のみに限った話では無い。佳純の弾くチェロは真帆への祝福に満ちていて、優しかった。

幸福とは何なのか。
彼女の中で答えは出ていて、佳純は佳純として生きていく。それを受け入れてくれる人がいる。そうわかって深呼吸できた気がする。

まとまらないけど一旦ここまで。