序盤、つらい。
中盤、慣れる。
終盤、頭痛い。
生きていく上で与えられる選択肢が、どのカードを選んでも詰みなら笑うしか無い。
考えるほど野暮になる映画だ、と自分の中で結論付けることで、動揺し考え続ける頭を休ませるしかなかった。
以下、メモ書き。
発作を起こすアーサーの笑い方があまりに悲痛でつらい。序盤からこんなに理不尽な目に遭うの？つらくない？と、暴力描写に対して事前に身構えていたにも関わらず、環境に追い詰められていくアーサーを観てかなりダメージを受けた。全部見終わってから、演技すごかったなぁと初めて思った。それほどジョーカーに染まっていくアーサーの姿に惹き込まれた。もう一回観たいけど、体力使うから覚悟がいる。
善/悪の判断が、自分の感情を軸にしている人の正義って怖い。不快だからって理由で排除するのは暴力的だと思うが、その不快感を封じ込めてしまうのもまた暴力的だ。でもゴッサムシティでの正義ってどれも私情が強く入っている感じがする。
露骨に感じるぐらい、演出の効いたカットが多かった。物事の進む過程が都合よく省略されているという疑問を抱きやすくするためだろうか。それともそう感じるのがそもそも間違いなのか。
1番印象に残っているのは中盤前くらいの、白い部屋で扉に何度も頭を打ち付けるアーサーのカット。
あれ？って思った。
あのシーンが、全ての時間の流れの先頭にあるように見えた。この映画は、起きた出来事の時系列をどう捉えるかで、ラストの印象に差が出る。結構バラけそう。色んな人の気付きや考察が面白く、映画が評価されているのももちろん頷ける。私の中では〈すごく怖い映画〉に分類された。どこからどこまでが現実か、という揺らぎそのものを強く与えてくる。衝撃で頭が痛かった。
狂気に染まれば、何があっても笑えるようになるんだろうか。
