芋けんぴ

ウーマン・キング 無敵の女戦士たちの芋けんぴのレビュー・感想・評価

4.1
最初に断っておくと、この映画は史実に着想を得ただけで、どうやら史実とは異なるようです。

現実のダホメは奴隷狩りをバリバリやってたし、劇中の王ゲゾも奴隷貿易を推進してた。なんだったらイギリスやフランスが奴隷制廃止を要望するようになると、「それじゃ収入源がなくなる」と対立したほど。

と、するとこれはハリウッドが女性戦士たちを善なるものとして描くために歴史を修正して描かれた映画で、これを今のベナンで放映したらかなりの反発が起こるんでなかろうか。

せめて国の名前を変えて架空の国として描いてたら良かったのでしょうが、国を架空にしてしまうと「実在した女性戦士たち」の部分が弱まってしまうので、後者の重要性を取ったというところか。

映画としては最高なんだけど、史実のことを考えるとどうしてもモヤる。

コンセプトありきで映画を作ろうとするから、今作のようなねじれが起こるのだろう。

プロットもいい、役者もいい、キャラもいい。アゴジェの筆頭格3人の苦悩を描きつつ、シスターフッドとしての若い世代の3人の成長物語を同時に描く構成も見事。というか、贅沢!えー、学園ものも見せてもらえるんですか?て感じ。3人の戦闘スタイルの違いも見てて楽しい。

キャラ立ちということで言えば愉快で強い先輩イゾギが良すぎた。あんな先輩ばりばり慕っちゃうに決まってんじゃん。

まぁ、ナウイについては若干「え、それ一種の貴種流離譚じゃ?」とか思ってそこはあんま好きじゃないかな。あくまで好みの問題。


エンドクレジットについては、MCUなんかのフランチャイズ映画見すぎてちょっと身構えてしまった笑

(え、ひょっとして背後からイゾギが現れて、[イゾギは帰ってくる]とかすんの?)

て思っちゃったじゃねーかwww

これもMCUの功罪。責任取れ、ケビン!

最高の映画ですが、これを史実だと受けとってしまうと大変危険なので、余韻はぶっ壊れるけど、確認は必要かなと思います。

しかし、なんだろう。

良い役者なんだけど、最近みんなヴィオラ・デイビスに頼りすぎじゃない?黒人女性役者のモーガン・フリーマンになりそうで不安。ハリウッドって「そういうインテリ黒人の役はモーガンにふっときゃいいんだよ」みたいなとこあるから。
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