芋けんぴ

正欲の芋けんぴのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
3.7
他人の人生に口出ししたり、「あんたを心配して言ってやってんのよ」とかほざくやつ。星野源の歌詞を引用してこう言おう。

しらねぇよ、カスが!

それ、自分の人生に納得いってなかったり不安だったり、不満がある裏返しだって知ってるからこっちは。無様だからやめた方が良いですよ?とは言いたい。


僕は正直マイノリティには属してない。39歳独身で交際経験もないが、単になかっただけで自分には向いてないだけで世間や女性を恨む気持ちは微塵もないし、1人じゃないのなら、マジョリティだろうがマイノリティだろうが幸福な人だ。

自分は一人だけど、誰かといた幸せを知らないからこの一人を苦に思わないでいられてる。

でも知ってしまったら、知る前の自分にはもう戻れないだろうなぁ。

確か「ヒメアノ〜ル」だったかな、自分の持って生まれた性質を自覚して絶望するシーンがあったような。原作かな。こんなの誰にも理解されるわけがない、一生一人じゃないか。そんなことに気付く。

想像の範囲外にあるマイノリティの中のマイノリティ。

そんな存在に対し、さして専門家でもなければこのすべての人間と喋ったことがあるわけでもない人間が言う。

あり得ない。

でも、僕らの知性とか想像力ていうのは「あり得る」範囲を広げていく以外にない気もしていて、ただただデリカシーもなく「あり得ない」と断じてしまう残酷さはなんとかできないんだろうか。

それとも、そんなこと不可能なんだからポリコレとか多様性なんて綺麗事は捨て去って前の時代に戻った方がずっと正義なんだろうか。

押し付けるな、強要するなと言うなら最適なバランスって逆に何?

考えれば考えるほどわからなくなる。

最適解なんてないのか。

偽善がなくなった世界は生きやすいだろうか。誰にとって、生きやすいだろうか。誰も正義を押し付けない。みんなが自分の本音をぶつけ合う世界。あぁ、「月」みたいな問答になってきた。

どんな世界でも、「いなくならない」人がいるならそれでいいんじゃないですか。

一人じゃないなら。


しかし、セックスのくだりは面白かったなぁ。佐々木くんも友達の付き合いで見た程度の記憶とか知識しかないんだろうね。
芋けんぴ

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