芋けんぴ

桐島、部活やめるってよの芋けんぴのレビュー・感想・評価

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)
4.0
観たのはだいぶ昔。一度しか鑑賞してないけど、ウィークエンドシャッフルの放課後ポッドキャストにおける宇多丸とコンバットRECと町山さんの駄話なら10回は聴いた。

この映画で言えば、僕の高校時代のキャラは「帰宅部」と「前田くん」のMIXという感じ。映画部とかそういう部活はやってなかったけど、ひとりでラップとトラック作って文化祭で歌ったりするやつだった。寒いとかダサいとか馬鹿みたいにとか散々言われたけど、文句言うばかりで一人じゃ何もできない連中に比べたら、躊躇なく恥をかきに行ける分俺のが絶対、面白いやつだと思えた。

でも、それでも仲間は欲しかった。自分のクルーでも作れたら良かったんだろうけど、俺と一緒に恥をかいてくれる人はいなかった。


だから一緒にやってくれる仲間がいる前田くんは羨ましいし、武はほんといいやつ。

「だから、お前は絶対引いたりしちゃダメなんだぞ」

あんなこと言って一緒に頑張ってくれる友人がいるだけで前田くんは勝ち組。桐島はそんな仲間がいなかったから、カーストを放棄したのかもしれない。

「俺はこの映画だったらこいつだった」
「私はこの人のこと共感できた」
とかそんな会話ができたら楽しい映画。学校が舞台だけど、お話は全然大人になってからでも共感できる。

これといい「何者」といい、朝井リョウは群像劇がうまい!「スペード3」に至っては女性の内面描写も見事。あーやだやだ!上手い作家なんて大嫌いだ!

過去の栄光を語るばかりのつまらない大人にやりつつある39歳。僕も未だに野球部のキャプテンのようにドラフトを待ってる。
芋けんぴ

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