肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

ザ・クロッシングの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

ザ・クロッシング(2021年製作の映画)
3.8
『FLEE フリー』と合わせて見るべきクセつよ全油絵調の民族迫害と人身売買に追われる姉弟の寓話的数奇な人生アニメーション

普通に見終わって抱いた感情は「おもしろ」です。
ジャンル的には姉弟の「ロードムービーアニメ」となりますが、作画が日本とあまりにも違い過ぎるので、心無い風に言うと"ヘタ寄り"なんじゃないかと不安が過りながらも、"日本人だからなのか?"クセが強すぎる劇画ちっく油絵風アニメーションもソッコーで慣れますw 具体的には難民として電車を使って逃れようとする成り行きぐらいの10分くらいには違和感なしに見れると思うんですがね…

波乱万丈過ぎる劇的に移り変わる生活環境&立場となるので飽きる暇なく「寓話」を堪能した気持ちでいっぱいです。
ちょっと劇的のほどを開帳しますと、アジェリーナ・ジョリーさんを思わす(ビジュアルは全く似ずにあくまで個人の感想w)元女優の金持ちに里子として買われたり、移動サーカス団に身を寄せて生活するといった具合に、映画1ジャンルで終わりそうな環境が移ろいでいくまさに「流浪の人生」を描いていきます。
でもこれ、超常的なことは一切なく、童話・寓話的に見えるあくまで"現実の出来事を敷き詰めた"難民たちの非業なヒューマンドラマなのです。
「実話」とならないのは、かなり現実的な話しながら作者の祖母?から聞いた話を、民族・土地・人物名を変えたか想像したのか、相当な"脚色"が成されてる風なんですよね。
そこらへんエンディングでさらっと誰発信かだけでなく、詳細に実話云々を聞かせて欲しかったですねぇ…

民族・移民迫害の末に起こる"難民事情"、アニメーション・ドキュメンタリーという"新ジャンル"を浴びせられた『FLEE フリー』ですが、結局似たような"移送"についての諸事情もあるし、そこに行き着くまでも家族自体が永遠に生き別れる"悲劇"が必ずといっていいほどついてくることを再び実感させられます。ただ大陸が違うだけの海を隔てればすぐそこの現実を間近で見た絵が趣味の少女が描き起こした作画のような"精彩ではないのに妙にリアリティを持ってるかに錯覚するアニメーション"。

アニメの話ではなくなりますが、見ていて思ったのはアレハンドロ・ホドロフスキー監督かギレルモ・デル・トロ監督に是非実写化してほしい!とさえ思いましたねw
このびっくりするくらいの画面・環境の移り変わりは荒唐無稽のカルト映画にマッチするし、「サーカス」を舞台とした映画として『サンタ・サングレ/聖なる血』のアレハンドロ・ホドロフスキー監督。『ナイトメア・アリー』、『ピノッキオ』のギレルモ・デル・トロ監督と繋がりがあり思い浮かんだんですよね。
デル・トロ監督は、"ファシズム"や"軍事要素"を取り入れた「ダークファンタジー」を得意としてるのも酷くマッチしているんですよね。
うーん、両監督がこの原作アニメを元に一体どんな映像を繰り広げてくれるのか…とんでもなく見てみたーーーい!(妄想)

レビューより妄想が長くなりそうで失礼しましたがw主人公がイケメンに求婚され旅に同行してきたり、先住民的特徴の少年とも恋に揺れたりと追われる命からがらの旅路にはなりますが、悲壮感に塗れ過ぎず出逢いと別れ、そして数々の"再会"のファンタジックな物語、稀有なアニメとして楽しむ価値ありです!
"MyFFFアニメ枠"毎年非情な現実を叩きつける内容ですが、いい刺激となっております。