肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

マグネティック・ビートの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

マグネティック・ビート(2021年製作の映画)
3.6
冷戦時80年代フランス。兄弟でミュージックラジオ海賊放送運営、兄とその周辺は兵役逃れ、兄彼女との淡い恋、1人ベルリン兵役に送られ孤立する中、DJとしてのディグ(開花)が今…はじまる

これは映画好き、性差別ではないが特に男、それも時代設定の"80年代のインディー青春映画"が好きな層をガッツリ撃ち抜くような映画になっておりますよ!
特にアメリカンロック界のアイコン、イギー・ポップの名が何度も唱えられることから、80年代インディーをモノクロ映像で席巻した「ジム・ジャームッシュ」監督の初期作が好きなら尚の事で、そのインディー・青年・ヒューマンドラマ感に懐かしさが込み上げて目頭が熱くなってきさえします。80'sインディーはまだ死んでない!!

ストーリーとしては、破天荒な兄に引っ張られて、サポート兼引き立て役のようにラジオ海賊(違法)放送の選曲DJを行っていた弟フィリップが、兄まで「P4」(不適合者)と呼ばれる偽装精神病云々で兵役逃れをやってのけたのに、まんまと罠…もとい正直に1年のドイツ兵役行きになったことから始まる、出逢いと開花と喪失の「兵役青春物語」となります。
鬱屈とした地元青春ストーリーかと思えば、急に別地へと渡り『フルメタル・ジャケット』じみてくるかと思いきや!?アーミーアーミーな緊迫感にまみれることなく、そこで軍放送局での正式なラジオDJ職の出会いと"可能性"に触れる経験を積むこととなります。
が、その兵役で兄弟での海賊放送は有耶無耶になり、自身は兄恋人へのふわふわした繋がりが恋心への確信となり、恋煩いを爆速させ、兄弟間&家族間の空気も様変わりし・・・
て、主人公、兵士として問題児過ぎるでしょ!?(笑)

性格は兄に付き従うようなおとなしめで普段はラジオDJ業の事しか考えてなかった青年なのに、この片思い…脈ありだぜ!!とわかった瞬間投げ出して帰郷したり、それ以前にも曲作りの為に就寝時に放送ブースに侵入、自由外出時間超過で飲んだくれとか、なにしでかすかわからないやべぇヤツですw

この映画は兄に隠れ取り柄がなかった主人公が本格的にDJの才能を目覚めさせ、一般認知されていない時代に本業もして視野に入れるまでを描いた映画ですが、実家での兄との事、兵役、叶わぬはずの兄恋人との遠距離恋愛、自分の「夢」と妙に"要素が混雑"しているので、描き切れてないのが惜しいんですよね…
特にフィリップが"DJ能力"を見せるシーンやミュージックシーンがもう1シーンくらい欲しかったですね。ただ告白するために使いました!じゃ、能力の開花や成長も描いたとは言い切れないし、「音楽映画」としてのジャンル采配ももう少し"バランスと魅力"を抽出して欲しかったです…

男女関係のアンニュイな見せ方とかやきもきする感じは、『君の名は』以前の新海誠監督初期作が好きな人とかは案外気に入ったりするかもw
問題児(クズ)の兄と絶縁間近で暴力振るうくらい険悪な父娘関係の親父さんでも、ある出来事での変化に意外性があるくらい感情的になるところなんかは、邦画にはない洋画特有の「ヒューマンドラマ」が垣間見えていいですよね。