こたつむり

湯道のこたつむりのレビュー・感想・評価

湯道(2023年製作の映画)
2.8
♪ いい湯だな(アハハン)
  いい湯だな(アハハン)

タイトルである『湯道』。
それは湯を極めし者たちが歩む道。
と知っても「なるほど」とは膝を叩けません。

何しろ、お風呂は肉体を弛緩させるもの。
“道”を歩み続けるには一定の緊張が求められるもの。お風呂と“道”は相性が悪いんですね。だから、相反する属性のものを結合するなら“接着剤”が必要なんです。

でも、本作はそんなことに心を砕きません。
風呂の入り方の作法とか。極めし人が持てる手ぬぐいとか。風呂と風呂の間の寸法とか。本質とはズレたところをピックアップします。

んー。これって。
自分たちが設定した“湯道”をバカにしているんでしょうか。

でも、それはないと思います。
たぶん、何も考えていないんです。ただひたすらに平坦なアイディアを採用しただけ。誰でも楽しめるように。どこからもクレームが来ないように。

それに大衆は簡単に騙せますから。
『上を向いて歩こう』が流れたらググッと来てしまうのが日本人の性。兄弟愛とか家族愛とかをブッ込まれたらキュンとしてしまうのも日本人の性。単純ですよねえ。

あと、配役で豪華さを出せば万全。
橋本環奈さんが可愛いのも、生田斗真さんがイケメンなのも、誰もが知っている事実。訴求力は抜群です。更に脇を実力派で固めれば万全。家族で楽しめる映画の出来上がりです。

あ、そうそう。
お風呂の映画なのにサービスシーンなんてありません。今のご時世、そういう演出はダメですからね。期待したら負けです(なのに男性のお尻は映して良いらしいですよ。意味が分かりませんね)。

まあ、そんなわけで。
お風呂に入った後のようにポカポカな気持ちになれる映画…と思いきや、やたらとヌルくて、冬の寒い時期に観たら湯冷めしてしまう作品。なので、どうしても感想がイヤミっぽいです。スミマセン。

着眼点は良かったんですけどね。
映画(に限らず虚構を扱う創作物)に大切なのは説得力だと思います。本当に。
こたつむり

こたつむり