グラビティボルト

バイオレント・ナイトのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
3.7
サンタが悪党をブチのめすというが、後半に進むに連れてただ赤い革ジャンを着たオッサンが戦う普通の映画になってしまう辺りが難。
その難点を抱え込んでなお、子供達の「ホームアローン」的なギミックを利用した逆襲が楽しかったので、アリ。ちゃんと楽しかった。
こんだけ陰惨なアクションを詰めて、ラストを陽の雰囲気に出来るのは、夜間の画面を無闇に明るくせず、人体破壊の断面を意外とはっきり映さない方向にしているからだと思う。
子供も悪党殺しに参加してるのに、サンタはそれを知らずに子供達は無邪気だと信じ切る。
この妙に居心地悪い語りのバランスが面白い。

サンタの殺陣、いつもの87ノース印のあり物を使ったコメディアクションだが、空間を行き来し過ぎず、ワンルームで決着を付けるのでギミックが1つの場面にギッチリ詰められてる印象。
部屋を行き来したり、モタる動作が少ないので、
長回しが長回しだと気付き辛いのも好感。
凶器のバリエーションも豊かだった。
特に氷柱を使った定番のオチ、ビリヤードのボールを靴下に詰めた鈍器、クリスマスツリーの飾り付けを使った二捻りある人体発火、草刈り機を使った人体断裂、スケートシューズを使った諸々、
煙突を使ったアイデアも豊富(サンタの出入り口というイメージを利用した外しもある)で、何だかんだサンタ映画としてのツボは外していない。

監督 トミー・ウィルコラの名前は覚えておこうかなと感じた。
87ノース案件でも、オマージュやら既存曲流しまくりみたいなダレに向かわず、殺陣のバリエーションの拡張と、最終的な悪役の設定含めて人物のドラマもちゃんと締めようとする職人性には惚れた。