ウィッシュのkuroのネタバレレビュー・内容・結末

願いがテーマの話なのに，主人公の願いは出てこない。祖父の願いを叶えない国王に，スターの力で叛逆を企てる。自称「優しすぎる」くらいしかキャラ設定がなく，7人のこびとを模した友人達もキャラの掘り下げはほとんどない。動物マスコットもつまらないジョークを垂れ流すだけ。
一方でヴィラン役の国王は幼少期に両親を殺され一代で王国を築いて，国民から願いを預かって月一ペースで叶えている。この世界は13世紀の地中海の設定になっており，この王国の周辺は歴史的には血なまぐさい様相を呈している。そんな状況下で観光立国で食べ物に困らず，父親を亡くした主人公が不自由なく暮らせており，脚の悪い友人は国王城下で働いて暮らしているくらい社会福祉が行き届いている。
主人公が主人公としての正統性もキャラ立ちもなく，ヴィラン役はヴィランとしての悪役ぶりが足りていない。突然空からやってきたスターが一国を滅ぼしただけである。18歳時に国王に預けていた願いが国民に戻されたところで大して変わることはないが，国家運営は国王ひとりで行っていたので，これまでの恵まれた社会環境は崩壊まったなし。
これで「星に願いを」というのは悪趣味でしかない。