kuro

ダム・マネー ウォール街を狙え!のkuroのネタバレレビュー・内容・結末

2.7

このレビューはネタバレを含みます

GAME STOP株に財産つぎ込んでいる個人投資家が,ネット配信でGAME STOP株について熱く語り,それに煽られた個人投資家たちが買い上げることで,空売りをしていたファンドが敗北する。
「マネー・ショート」は,市場の見落としを発見したことで勝利したが,本作は単純に売りと買いとの押しくらべでしかない。個人投資家たちがどこで手放して売るか,ファンドが評価損に耐えきれず買いに転じるか。お互いにどこまで信念を貫ぬくか,売り・買いで撤退するのかの内心の葛藤が描かれる。「ダイヤモンドハンド」「月まで飛ぶぜ」と買い続ける個人投資家は,単なる信念でしかなく掲示板たちの熱狂に煽られた「ダム・マネ-」でしかない。ただその積み上がった買いが売りを上回ったにすぎない。
GAME STOP株が大好きだと語る主人公が,GAME STOPの店舗を訪れることもなく,ゲームをやるシーンもない。彼は学生時代に打ち込んでいたトラック走を続けているだけで,彼自身も実業には関心のない単なる投資家でしかない。
個人投資家とファンドの争いの裏に仲介業者のシタデルが存在するのだが,その存在については深掘りされない。「ダム・マネー」と個人投資家を軽んじているファンドですら,売買の仲介するシタデルの手のひらで踊っているだけということは出てくるのだが,ストーリーはファンドに個人投資家が勝ったことで盛り上げて終わってしまっている。
新型コロナ禍の下で「マスク」と注意される従業員や,人通りのほとんどない街のシーンと2020年の様子をフィルムしていたという点で,スコアアップ。
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