小島アキヒコ

葬送のカーネーションの小島アキヒコのレビュー・感想・評価

葬送のカーネーション(2022年製作の映画)
3.9
ただ愛する妻との約束を守る
ためなのに。

愛する妻の亡骸を故郷に還す
だけなのに。

終わらない戦争と宗教と国境によって、
その約束は果たすことはできなかった。

割れたグラスとこぼれたミルク。

こぼれたミルクは元に戻すことはできない。

それでもムサは金網のフェンスを
乗り越えて愛する妻の故郷へ向かう。

僕が疑問に思ったのは、こんな高齢な人が
いとも簡単に有刺鉄線の金網のフェンスを
突破することができるんだろうか、
ということです。

あくまでも個人的な感想ですが、
フェンスを乗り越えたムサは
ハリメの幻想なのかもしれないと。

普段ハリメは非常に無口で
感情を表さない。

だから、幻想の中で、秘めた感情が
爆発してムサを呼び止めようと
叫んだんじゃないかと。

お父さんもお母さんもいなくなった。

おじいさんはいなくならないで、と。

夢と現実が交錯する感覚。

観終わってからも色々考察してみたくなる
深い作品でした。