ぬ

ファイブ・デビルズのぬのレビュー・感想・評価

ファイブ・デビルズ(2021年製作の映画)
3.7
「香りによってタイムスリップするSFするクィア・パムルに選出された作品」という、無視できない要素の多い映画だったので、Filmarksのオンライン試写会応募してみたら当選しました。ラッキー!

並外れた嗅覚を持つ主人公ヴィッキーが、香りをトリガーにタイムスリップし、知らなかった母の過去を辿っていく、というお話。
何を伝えたいのか理解するのがむずかしいんだけど、演技や雰囲気はかなり好きだった。
それぞれの苦しさや傷、でもそれらがあるからこそ存在する現在、「ああしなければよかった」「こうだったらよかった」みたいな過去の正しさを超えて、ただ存在する現在の必然性、みたいなのがテーマかなと感じた。
一番のメッセージは母から娘への「なにがあってもあなたと私の関係性は変わらない」という一言に集約されているのかな…
(あと個人的すぎるお話ですが、アデル・エグザルコプロス、何していてもセクシーというか端的に好きなタイプ過ぎてドキドキするね…寝起きにヨレヨレのTシャツでボサボサヘアで疲れた顔して朝ごはん用意してる姿が、なぜにあぁも魅力的なのか…無論演技も素晴らしい)

閉鎖的なフランスの田舎町に存在する根深い人種差別や同性愛者差別みたいな部分は感じ取られたのだけど、ヴィッキーの特異な能力という設定を活かしきれてないように感じるというか…
細かい設定とか、他の子どもがかかわってくるところとか「これは伏線かな?」「ここからなにか起こるのかな?」と思ったところが何もないまま放置されて回収されるとかもなく、煮え切らない感じは結構あった。

印象的で画になるような素敵なシーンやセリフや、主演の女の子はじめみんな演技が素晴らしかったのだけど…やはり映画としてまとまりがないような気がしてとても惜しい!
身体に塗った脂にその人の香りが移るっていうの、映画『パフューム』でやってたやつだ〜ってなりました。
ぬ