ウォーターライブラリー

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版のウォーターライブラリーのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 多数の人間に相互に絡み合う恋愛模様をオムニバス的色彩を強めて描く映画。

 女性社長とその友人にして部下の女性が、青を基調にした光に包まれながら、タバコの火を細い巻紙を通して直接に分け合うプールでの長いワンショットがある。ここに一般の「友人」関係を越えた関係性を感じ取れてもおかしくない。
 また、このショットは、ラスト近くのオフィスで和解する二人のショットと、青色を基調とした色彩の印象が共通するというつながりをもっている。オフィスのショットは日が昇りかけたか、かけていないかの狭間の微妙な早朝で、台北の都市のほとんどはまだ機能を初めていない時間。ふたりきりの時間が共有され、一方の部下は作家との交流を経て自身の悩みに対し納得を経ている。そんな彼女が、その友の強がりをを理解することで、二人は親友に戻っていく。その背後の窓には、前述した微妙な朝の青い光が映し出されている。

 ところで、ある節ごとに冒頭部に字幕のみのカットをおき、その節の途中でそれに関連するトークを散りばめる手法は、ジャン=リュック・ゴダールからの影響関係を想起することもできる。節ごとの強調部をあらかじめ示すものであろう。