スパイダーマンとバットマン以外はあんまりアメコミヒーローものには興味がなくてMCUとかX-MENとかもよく分かっていない(X-MENに至ってはカプコンの格ゲーくらいでしか知らない)俺なのですが、たまーにアメコミものでも観ようかなーという時期があって今回そのバイオリズムが一致したのでこの『デッドプール&ウルヴァリン』を観たのだが、まず結論を言うとまぁまぁ面白かったですよ。
他作品のことはほとんど知らない俺でも下品なアクション映画としては楽しめたのでまぁいいんじゃないですかね。ま、他作品を知らないとは言っても実は『デッドプール』は1も2も観ているしウルヴァリンの映画なら『ローガン』は主人公がウルヴァリンだと知らずに(深夜に衛星放送か何かでやってた)観ていたので、多分この『デッドプール&ウルヴァリン』に臨むための最低限の作品は観ていたのではないかと思う。あとは幸運にも『ブレイド』も最初のやつだけ観てたな。ていうかあれってアメコミヒーローものだったのね。今更知ったわ。ガンビットは和月伸宏がデザインパクってたことしか知らない。『ローガン』に出てた女の子は流石に知ってるけど名前は忘れてた。もう一人女の人がいたと思うけどその人はサッパリ知らない。それくらいの感じの俺でもまぁまぁ面白かったのでまぁ良かったんじゃないすかね。
一応『デッドプール』と『デッドプール2』は観ていると言いながらも、内容なんて覚えているわけもないのでお話は何か最初からよく分からんかったが、どうもMCUお得意のマルチバース的な感じでデップーこと俺ちゃんが自分の世界を救うためにはウルヴァリンの助力が必要とかで何か知らんが異次元の虚無空間? かなんかで一緒に戦ったり喧嘩したりするお話だった。
どうも本作は単純にスーパーヒーロー大集合的な作品というよりも、20世紀FOXへのレクイエム的な感じなのだろうということはアメコミヒーローものをよく知らない身としても作中の演出で何となく察しはするのだがその辺のメタ的なギャグというのが『デッドプール』の作風と上手く噛み合ってて詳細は知らんなりに楽しめた。まぁ個人的にはヒーローものより40~50年代の『イヴの総て』とか『わが谷は緑なりき』とか、比較的最近のなら『ダイ・ハード』なんかをパロディしてくれた方がずっと楽しめたとは思うが…。
まぁでも下品なセリフとバカバカしいギャグと四肢が飛び散るアクションがあったので大体は満足です。でも一つ気になったのは、今作ではデップーとウルヴァリンの絡み方がですね、なんというか非常に腐ったおねーさんが喜びそうな感じの絡み方で、要はBL二次創作とかで盛り上がってください! 的な分かりやすいサービスシーンが沢山あったのが意外だったのだが、本国アメリカでもヒーローものの映画でそういう需要とかってあるんですかね。まぁジャンプ漫画とかでもそういう楽しみ方はかなり昔からあるので全然不思議でも何でもないんだけどさ、ちょっとあざとすぎるんじゃないかなーとかは思っちゃいましたね。
他にはそうだなー、アクションシーンは血が出たり身体が欠損したりはいいんだけどバトルそのものの熱さみたいなのは無かったな。そこはデップーにしろウルヴァリンにしろ不死身(ヒーリングファクターだっけ?)な特性を持ってるから正直緊張感ないんだよね。大量のデップー軍団とまるでSFC時代のベルトアクションゲームのような感じでカメラを水平移動しながら戦うシーンも、画面内で楽しいアクションは行われているけどなんだか予定調和的な感じで燃えるような熱さは皆無である。確か庵野秀明がNHKの『プロフェッショナル・仕事の流儀』の『シン・仮面ライダー』の回で「予定調和のアクションはいらない、なんならリハーサルもなしでやってほしい」という趣旨のことを言って、何言ってんだコイツ? という反応を貰ってた気もするが本作観てたら俺も庵野がそういうこと言っちゃうのも分かるなぁという気はしましたよ。もちろん演出なしでガチの殺し合いをやってくれなんていうのは無茶苦茶にもほどがあるし、それなら監督なんていらねぇよ! っていうところでもあるのだが、作り込まれてはいるけど緊張感もなくタラタラ不死身同士がじゃれ合ってるだけのアクションっていうのもグッとくるものはなく、殺し合いには見えないよなっていうところはありましたね。
ただまぁ、そういうピリッと引き締まった感のない映画ではあるもののボケーっと観てる分にはまぁまぁ面白い映画ではあった。100分くらいでサクッと終わってりゃもっと良かったが。
しっかしヒュー・ジャックマンのあの揉み上げは何だよ。フェロモン発生装置かよ。