Yuki

春に散るのYukiのネタバレレビュー・内容・結末

春に散る(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「命を削りながら過ごす"今"この瞬間は、
 ダイヤモンドの輝きを放って
 まわりを巻き込み、渦を起こす。
 役者の覚悟が伝わる、ボクシング映画」

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最初に感じたのは、映画の演出効果として、
とにかく導入されている音楽、音が少ない。
余計な情緒を煽るものを排除し、素材をそのまま使い、こちらに訴えかけているような印象がありました。

そのような演出を意図的にしているかは分からないのですが、錚々たる役者陣の本気の佇まいが素晴らしかったです。

特に、最後の窪田正孝さんと横浜流星さんの試合は本当に素晴らしかったです。
山口智子さんも舞台挨拶の際に「本物の輝きだった」とおっしゃっていましたが、命を削りながら何かに魂を込めて向き合うということ=周りにダイヤモンドのような輝きを見せてくれる光景なんだなと思ったし、これだけ煌めく美しい瞬間を見せられると気持ちが昂まります。
応援したくなる、この瞬間生きていて良かったとさえ思う。
そんなものを見せられました。

自分は果たして、人生のなかでどれくらいそのような時間を過ごせているのか。
周りにダイヤモンドのような景色を見せられているのか。

目が見えなくなるリスク、その狭間で
見える景色がある。
何かを得るために、何かを失うこともある。

草刈民代さんがテレビで「努力の結果、失うものがある」とおっしゃっていた言葉が胸に突き刺さったということが最近あったのですが、まさにそのことを体感した気持ちになりました。

ただ、何かを天秤にかけてやめるくらいならそれは自分にとってまったく必要ないものかもしれないし、リスクをとってもその道を突き進むと思える決意と覚悟を後押しするものに出会える人生を過ごしたいと思いました。

今しかない、先延ばしできないことがある。
この瞬間に100%フォーカスして、今を生きる大切さ。

横浜流星さんの作品への向き合う姿勢、精悍さ、気品、終始全てが美しかったです。
Yuki

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