Yuki

余命10年のYukiのネタバレレビュー・内容・結末

余命10年(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

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大好きな藤井道人監督の恋愛映画ということで、半年くらい前からずっと楽しみにしてたし、試写が当たってめっちゃくちゃ嬉しくて、楽しみにしてて。

パンフレットが配られて、上映前に読んでいたら脚本にこれまた大好きな岡田惠和さんが関わってるって知って、いやこれ良くないわけないやんって思って。期待と興奮が最高潮で。

なのに、125分、周りは泣いている人が何人もいたのに、なぜか全然泣けなくて。

泣くことだけが正と言うわけではないし、私は私の感情で真剣に、しかとこの映画と向き合って受け止めたと思ってる。だから、自分が感じた感情も、この映画に向き合った素直な気持ちなんだと受け止めたい。

実は、ちょっと前に、健康診断の結果で「お伝えしたいことがあるので、できるだけ早く来てください。」って言われて、生きた心地がしなかった経験をしていて。診断聞くまでは「え?あと半年しか生きられんとか言われたらどうしよう?」とか本気で思ったし、そのときに「じゃあ、あと半年なら何しよう」ってすごい思ったし。
人間誰しも限りがあると分かっているはずなのに、それが本当の本当に自分の身に降りかからないと、終わりのタイミングがいつか分かっていないと、何かの拍子に思い出すことはできるけど、日常的には忘れちゃうんよな、って思ったりもして。

話逸れてしまったけど、今回のお話は、実際に作者の人はもうすでに亡くなっていて。
フィクションではあるけど、作者の方が一生懸命生きた証なんやなって思って見させてもらいました。いくつもの春夏秋冬を美しく表現する藤井監督の世界観はやっぱり流石やし、ずっと画が居心地良いというか。スッと入り込めてちょっと懐かしいみたいな、そんな感じが大好きです。

役者の皆さんも本当に良くて、みんな魅力的だし、演技がすっごい上手い人たちばっかりで。
素人の私も「ああ、上手いなあ。」って思う人たちで固められていて、主演の2人はもちろん、家族役の黒木さん、松重さん、原さんはじめ、お友達役の山田裕貴さん、奈緒さん、お医者さん役の田中哲司さん、焼き鳥げん店主役のリリーフランキーさんって本当にみんな上手いねん。

上手すぎて、逆に、わあ〜、こんなさらけ出せる役者さん本当に凄いなあとか、このシーン引き出してる製作陣ほんとすごいなあとか、なんかすべてが完璧すぎて、上手いなあってなっちゃって、全然感情移入できんくて、泣けんかったのかもしれない。

途中、茉莉ちゃんが危篤?状態のとき、理想の2人の回想シーンがあって、そこはめっちゃララランドっぽいなって思った。

最後の終わり方は、受け手側に結末を託すような形になっていて、余韻があって良かったです。

茉莉ちゃんが生きていて、病院に行くカズくんなのか。出会った季節である春に、茉莉ちゃんが亡くなっていて、お花を持ってお墓参りに行くカズくんなのか。
私の気持ちの中では、前者であってほしいな、と。そして、いつまでも笑うふたりの時間が永遠に続いている世界線がありますように、と願います。
Yuki

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