ほーりー

新婚道中記のほーりーのレビュー・感想・評価

新婚道中記(1936年製作の映画)
4.0
犬好きの方、必見の映画。犬が目をつぶって「もういいかい」しているシーンが激カワ!

ひさしぶりに「新婚道中記」を観たが、ラストのからくり時計の場面だけは鮮明に覚えていたけど、あとの筋はほとんど忘れていた。

フロリダに行くと嘘ついて遊んでいた夫ケーリー・グラントは何食わぬ顔で帰宅すると、丁度、妻のアイリーン・ダンも優男を連れて帰ってきたところだった。

妻の言葉によれば、この男は彼女の声楽の先生で、出先で二人とも車で故障し安宿で一晩泊まったという。

やましいことは何一つもないという妻に、嘘つけ!と夫。あんただってフロリダなんて行ってないでしょ!と夫も彼女に嘘を見破られ、口論の末に二人は離婚を決意する。

夫婦の離婚成立日までのやり取りを面白おかしく描いたコメディ。

ちなみにこの映画に「新婚道中記」という全く関係ない邦題をつけた人は一体何を考えていたんだろうか。

それまでマルクス兄弟やロイドの喜劇映画を撮っていたレオ・マッケリーだけあって、ギャグの豊富さに驚く。

マッケリーは本作でアカデミー監督賞を獲得するが、本当は同年の「明日は来らず」の方で獲りたかったそうな。

今回気づいたのだが、のちのビリー・ワイルダーの映画によく似たシーンがいくつも登場する。

エレベーターの針が途中で止まってまた元のフロアに戻ってくる場面は「お熱いのがお好き」だし……。
女性のスカートが風に捲れ上がるのは「七年目の浮気」だし……。
開いたドアの影に隠れるのは「深夜の告白」(もっともこれは喜劇ではないのだが)だし……。

あくまで勝手な想像だが、もしかするとワイルダーは結構マッケリーのことを意識していたんじゃないかという気がする。

あと意外にも伏線が多いのもワイルダーの映画に通じるような感じ。

のちに作られた「赤ちゃん教育」や「ヒズ・ガール・フライデー」に比べると強烈なビジュアルが少ない作品で、ちょっと影が薄いのが勿体無いのだが、ギャグの濃度や伏線の多さで言えばこれらの作品と比較しても遜色がない作品だと思う。

■映画DATA==========================
監督:レオ・マッケリー
脚本:ヴィニャ・デルマー
製作:レオ・マッケリー
音楽:ベン・オークランド
撮影:ジョゼフ・ウォーカー
公開:1937年10月21日(米)/1938年4月20日(日)
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