ほーりー

エデンの東のほーりーのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
3.6
【上目遣いの青春】

今週もまたレビューの前にご案内がございます。というのも先週宣伝したばかりの似顔絵の個展が緊急事態宣言の延期に伴い、さっそく日程が変更になりました(涙)

『堀口典雅にがお絵展』
◯日時: 2021年6月18日(金) 13:00〜19:00/19日(土)10:00〜15:00
◯場所: 京王線府中駅南口前 複合ビル ル・シーニュ6階
市民活動センタープラッツ 第1会議室B
○無料
○こちらのFacebookにも詳細を記載してます。
https://www.facebook.com/groups/2484425791848334/?ref=share

6月はまだ今よりはコロナ禍が落ち着いていることを祈りつつ、もしご都合よろしければ足を運んで頂ければ幸いです。

ではレビュー。アスペクト比1:2.35のシネマスコープサイズをもっとも効果的にドラマ表現として使った初の映画『エデンの東』。

ジェームズ・ディーン主演の大有名作なので勿論昔から観た作品だけど、実は我が家にあるDVDだとアスペクト比が違うのでまだその良さがわからないのが正直なところ。

名前がクレジットされた映画としては初出演で主演だったジェームズ・ディーンがこれ1本でたちまち人気スターの仲間入りした作品でもある本作。

公開されたこの半年後には自動車事故で急逝しており、ディーンの活動期間の短さに改めて驚く。なので本国から七か月遅れて日本で『エデンの東』が公開された時には既に故人だったというわけ。

さてあらすじ。

カリフォルニアのとある町で農場を経営しているアダム(レイモンド・マッセー)には双子のアロンとキャル(ディーン)の息子らがいた。

父親かは何かに連れて真面目で優等生なアロンと比較されてばかりのキャルは面白くなく、次第に反抗的な性格が出来上がってしまった。

映画はキャルが死んだと思っていた母(ジョー・ヴァン・フリート)が実は生きており、別の町で売春宿を営みなんでいることを耳にして、確かめようと宿を訪れるところからスタートとする。

と、冒頭からディーンお得意の拗ねた演技が炸裂する。父親に認めてもらおうと色々試みて、すべて上手くいくのだが、キャルのやり方が正攻法ではないことを理由に父親からお叱りを受ける始末。

一番有名なのが、父親に手に入れた大金を渡そうとするも拒絶されるシーン。予測不可能なディーンのリアクションは芝居が臭いけど確かに強烈な印象を受ける。

ちなみにこのシーン、エリア・カザン監督はカメラを斜めに据えて撮影しており、今にも崩れ落ちそうな親子の関係を表現している。

この場面は効果的だったと思うけど、その後のブランコのシーンでカメラもあわせてユラユラさせるのはちとやり過ぎな感じがある。

前述の通り、シネスコサイズで本作を観ていないので、全体通して何とも評価しにくい。ストーリーも当時は鮮烈だったとは思うけど、今の目で見ると目新しさはあまり感じない。

ただ今回調べるためにググってみると、いくつかシネスコサイズの画像がひっかかり、そのいずれも目を見張るような美しさだった。

冒頭の母親(とおぼしき女)を待ち構えるシーン、菜の花畑でのジュリー・ハリスとのシーン、うつ伏せになって畑の苗を眺めてるシーン、それまでいずれも凡庸な映像に見えていた場面が比率の違いだけでこうも俄然輝くものかと衝撃を受けた。

いつかシネスコサイズで本作を観たら、また評価が変わっているかもしれない。

■映画 DATA==========================
監督:エリア・カザン
脚本:ポール・オスボーン
原作:ジョン・スタインベック
製作:エリア・カザン
音楽:レナード・ローゼンマン
撮影:テッド・マッコード
公開:1955年3月9日(米)/1955年10月4日(日)
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