七月

聖なる証の七月のレビュー・感想・評価

聖なる証(2022年製作の映画)
3.0
アイルランドの陰鬱とした風景が、原作を読んだ時のイメージそのものだったので驚いた(原作の描写力がすごいのかもしれない)。
原作に描かれた登場人物たちの重苦しいやりとりや凄惨な出来事があっさりめに描かれてしまっていたのが残念。特に当時の社会における女性の扱われ方はこの事件の根幹に関わるものだと思うので、映画だけでそれが表現されていたか疑問が残るのでこのスコアにしました。
映画以上にめちゃくちゃしんどいけど原作もおすすめです。

看護師として現実的なやり方で(強制的に)アナを生かすのではなく、アナの信じる「物語」に寄り添い、アナを生かすだけではなく「救う」方法を選んだリブの決断はまさに愛で、その行いこそが聖なる証なのかなあと思いました。
アナの周りにいる大人たちの言動はひどいように見えるし実際ひどいのだけど、彼らは大飢饉を経験して、身近な人を失った人も多くいるのだろうと想像できる(アナの老主治医はそのようなシーンがある)。彼らも深く傷ついた人たちで、その傷が「食べずに生きられる少女」を盲信させているのだろうと思うと、一概に彼らが悪い、信仰心は悪と切り捨てることはできないと思う。
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