オレオレ

ソウルに帰るのオレオレのレビュー・感想・評価

ソウルに帰る(2022年製作の映画)
2.5
お涙ちょうだい「自分探しの旅」的なストーリーかと思っていたらちょっと違ってた。
自分探しではあるんだが、もうちょっと居心地の悪いというか、奇抜というか。

韓国で生まれたものの生後すぐにフランスに養子に出され、フランス人の両親の下で育ったフレディ。
行くはずだった東京便が台風でキャンセルになるが、かといって2週間の休暇を無駄にしてたまるか!という思いから急遽韓国を訪れる。
ゲストハウスで知り合った仏語を話せるテナと、手元にあった一葉の写真だけを頼りに成り行きというか行き当たりばったりで自分の実の親を探し始めることに。
養子縁組エージェンシー(の担当者もいきなり仏語堪能!団体のパンフは全部韓国語と英語なのに、笑)が連絡を取ると、父親とはすぐ会えることに。
ところがこの父親とその母親(フレディの祖母)が相当ウエットでフレディは辟易。彼女を手放したことを許してくれ~許してくれ~、とトラウマになりそうなくらい謝られ、同じように陰鬱なメールが父親から届きまくる。うんざりして返信しない、会おうとしないと、またそれについての繰り言が延々・・・
一方、実の母親はエージェンシーからの連絡には一切反応せず、それはそれでフレディの気持ちはかき乱される。
常に曇り空、雨模様の天気がフレディのイライラした気持ちと状況に拍車をかける。

ストーリーはそこから数年後、またさらに数年後、とソウルに戻ってくるフレディを映し出す。
髪型や着るものや同伴者は都度変わり、フレディとフレディの生誕地、韓国との距離感も微妙に変わるが、ああこの人、何があっても大丈夫そうと思わせる。
「同席者にお世話されていないと暗に示すようなものなので、手酌はダメよ!」と言われた先から手酌で酒をコップに注ぎ、気持ちよく飲み干す冒頭のフレディ。
誰かの世話にはならず、自分の二本足で立っていくさ、というフレディが大丈夫だと思わせる。