オレオレ

フェアウェルのオレオレのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
3.5
最後の最後はいただけなかったが、思った以上によかった。
というか、年取ると涙もろくなる、ってこういうことなのかも。

オークアフィナ演じるビリーは幼いころに両親とともにアメリカに移住、NYCに暮らしている30歳の独身女性。
目指すものはあるものの、応募する奨学金給費研究者ポストにも落ちまくる貧乏生活。
郊外にある両親の家に洗濯しに帰るような貧乏生活だが(交通費の方がコインランドリーより高いだろう!)、その両親の家で、中国の祖母ナイナイが肺がんで余命3カ月だと知らされる。
嘘がつけないビリーは両親と帰国することを禁じられるが、大好きな祖母のことなので、両親の後を追って中国へ飛ぶ。

ビリーの従兄(どんくさい感じで好演)の結婚式、というのを口実に親族が次々に集まってくるが、誰も、「余命期間を本人に知らせるべきだ」というビリーの主張には賛同しない。
「ガンが人を殺すのではなく、ガンの恐怖が人を殺すのだ」という考え方。
昔も日本ではそういう風潮があったように思うが、今でもそうなんだろうか。
なもんで、みんなが座りの悪い暗い表情でご飯を食べるシーンが多い。
当のナイナイは元気いっぱいで、従兄の結婚式のアレンジに余念がない。

とまあ、洋の東西、世代間のギャップを問いかける作品なんだが、そういう主義主張よりも自分の亡くなった祖父母を思い出して泣けた。
子供の頃って祖父母の愛情って鬱陶しくなりがちだが、ナイナイがビリーに見せる愛情を見ていると、邪見に扱ってごめん!と祖父母に謝りたい気分になった。
すぐ顔触ってくるのとか、ご飯を食え食え!ってすごい皿数だしてくるのとか、電子レンジからモノを取り出すのに「熱いで!ヤケドしなや!」と毎回言われたのとか、当時は、いつまでも子ども扱いされた風で鬱陶しかったけど、ナイナイがビリーに同じことをしているのを見ると、ああ愛情なんだよな、って思え、それをうるさがった自分を責めたい・・・
とりあえず、祖父母には間に合わなかったけど、親にはもう少し優しくしようと思った(といいつつ・・・)。

なんだか謎な演出(背中のお灸を見るオークアフィナのショットとか、MR.リーの存在とか)もあったけど、ネトフリから消える前に見といてよかった。
が、最後の最後、本物のナイナイのショットはどうかなあ・・・と思うよ。