人形残虐ホラーと言うより、家族に紛れ込んだ他人が、家族内ヒエラルキーを支配していく系の映画。気が利くベビーシッターが母親の役割を奪っていく、まあ定番な設定。続編あるならば、人形が夫を誘惑する『ゆりかごを揺らす手』みたいな映画にしてほしい。
周囲を観察しながら嫌がらせと暴力を静かに遂行していく知的な悪役のミーガンが良き。ムカつく隣人も苛めっ子も、きっちり制裁していくのは間違いない。意図的にホラーコメディっぽくもしていて、恐怖より可愛げが勝つ「映画」。母も娘もぶっ殺して、一人たくましく生きていくミーガンが見たかった。
悲劇から目をそらしてきた少女が、向き合い、自らの「手」で困難を乗り越えるくだりは一応用意されている（通過儀礼）。こういうのを見ると、アメリカ映画って何だかんだ言っても基本に忠実に作られているよなあとは思う。
