まりぃくりすてぃ

イヴの総てのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
2.3
★褒めどころ★
❶ 主演ベティ・デイヴィスの演技は、何よりも誰よりも段違いに観客を味方につけるパワーを最キープ。いつもながら彼女こそ、女優の中の女優!
❷ プラチナブロンド短髪の演出家夫人カレン役のセレステ・ホルムが可愛くて “微炭酸” 効いてて観やすさに貢献!
❸ 結末のささやかな工夫(悪ループ)は面白。

★貶しどころ★
❶ 全体としてストーリーテリングが余裕かましすぎ。結末まぎわのこと(授賞式=悪の勝利)をいきなり冒頭で明かしちゃって、そこから始発点に戻って、妙に自信ありげに堂々進む。なぜそんなに堂々と? まるで駅前ターミナルから大通りをただひたすら直進直進直進してカーブゼロ(例えば東京JR国立駅からの大学通りとか)みたいにストーリーが行く。蛇行一切なし。なさすぎ。「悪」が順調に周りを喰っていく。(お洒落な国立の大学通りは春なんかは桜がスゴイし全然好きだけども)この物語は、そこまで面白いか? やたらと喋る台本。画や間合いや佇まいで語るとかせず、最初っから最後まで人物たちがセリフを言いまくってる。ご苦労さま。でもね、息が詰まってくるよ。「悪がいかにして勝っていくか」は不愉快だもん。ハリウッドの裏話暴露って意義はまあどうでもいい。スポーツやアメリカンプロレスだったら終盤に観客の暴動を呼んじゃう典型的な “反興行的” 展開だ。ラストにだけ、初めて急カーブみたいな芸当で深みを出してくれたけど、それまでにくたびれちゃったよ。完全に時系列で(悪がどうなるかを予測させずに)行って授賞式シーン(悪が勝ちました)は終盤一回きりにしたほうがよかった。真に自信があるならね。結局、ムダに長いんだ。半分の尺で表現しきれる話なのに。
❷ 映像表現上の致命傷はむしろこっち。悪の主役イヴ(アン・バクスター)が、容姿・雰囲気・演技力ともにあまりにも地味で凡庸でパッとしなくて、彼女の何一つとして私たちに脅威を与えてくれないから、本当のところマーゴ(ベティさん)に脅威を与えてるようにもとても思えない。バクスターが完全にウィークポイント。彼女の演じたイヴが舞台上でいかに好演したかを一回も見せてくれなかったし。これじゃ私の関心を呼ばない。マリリン・モンローがイヴ役やればよかったのに。これ絶対。配役ミス。
❸ 劇伴が、『風と共に去りぬ』の劣化版みたいな生アクビ曲。

[エアコンが全然効いてない奇妙な映画館で「早く終わんないかなー」と思いながら観た。]