円柱野郎

Dr.パルナサスの鏡の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

Dr.パルナサスの鏡(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

全編テリー・ギリアム監督らしいビジュアルが目を引く。“鏡の中”という何でもありの世界の設定を持ったことで、ギリアムの想像力に羽が生えた様。ファンタジックだけどもどこか異様な世界は、クセのあるギリアム作品の雰囲気が分かってる人には楽しいんじゃないかな。
パルナサス博士と悪魔の関係は敵味方と言うには微妙な間柄で、結局お互いの“獲得”ってのがどういう違いなのかよく分からなかったりするけど、鏡の中での選択に関しては博士と悪魔が対象に誘惑を仕掛けている様にも見える。であればやっぱり2人の掌で踊らされている人々を描いているだけか?“娘を救いたい”という博士の想い以外は、2人がいったい何をしたいのかよく分からなかったりもする。
話のキーマンであるトニーを演じるのは撮影途中で急逝したヒース・レジャー。ヒースで現実部分の撮影は終わっていたので、鏡の中は代役のジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人がトニーを演じている。最初そういう構成にしたと聞いた時はツギハギ感が出るんじゃないかと心配したけど、これがこのストーリーでは全く違和感がない。むしろそうなったことで、より不思議な世界観が出たかも。転んでもタダでは起きないギリアム監督の執念と、ヒース・レジャーの友人3人の想いが形となった作品、とも言えるか。ラストに出る"A Film from Heath Ledger & Friends"という一文が泣かせます。
円柱野郎

円柱野郎