スカポンタンバイク

零落のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

零落(2023年製作の映画)
3.6
映画化としては、まぁ普通という感じ。
原作通り以上でも以下でもなく、取り立てて言うことはない。結構再現したい欲望の強い映画だなぁとは思った。それが必ずしも良いとは思わないが。
大体、普通くらいを3.5で付けてるのだが、+0.1はドレスコーズの志磨遼平のインタビュアー演技が可愛らしかったので、おまけ。
あと、異才を放つ女性代表として活躍し続ける玉城ティナが、今作でも玉城ティナ業を成し遂げているのは「流石」って感じ。
肝心の話に関しては、まぁあれは浅野いにおの漫画世界全体に漂う気怠さが根底にあって初めて機能するものだなぁと思っているので、その部分は映画ではあんまり響いてこなかった。映画は結構元気になっちゃってる。
これは浅野いにお作品の良くも悪くもな部分で、ディテールが緻密なのにどこにも焦点があっていなくて、緻密さが生む重さだけが読んでる間に乗っかってくる感じがある。だから、どの作品を読んでいても、とにかく気怠い気分にさせられる。この気怠さに登場人物も自縄自縛に陥って、どこまでも落ちていく所が「零落」は物凄く噛み合っていて、個人的には浅野いにおの最高傑作だなぁと思っている。
そこでくると、今度やる「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」のアニメ化は絵なので、この浅野いにおの気怠い世界観を構築できる可能性が最も高いという点で、大変期待している。ちなみに漫画は5巻くらいで挫折した。申し訳ない。(これだったら、素直に面白い「第9地区」の方が良いってなってしまった。)