ルサチマ

夢のシネマ 東京の夢のルサチマのレビュー・感想・評価

夢のシネマ 東京の夢(1995年製作の映画)
4.2
映画誕生間も無くリュミエールの弟子ガブリエル・ヴェールが日本を訪問し、明治の日本を撮影した映像が吉田の語りとともに提示されていく。カメラの加害性にとどまることなく、公平性そのものを撮影を通じて意識していったであろうヴェールの思考は、戦時下の日本に生き、空襲を朧げな記憶の中で生き延びた吉田の経験(この吉田の体験は『映画監督とは何か』で語られる)とどこかで通じ合っていたんじゃないかと勝手に想像している。それは小津が山中貞雄の深い影のもと、あの特異な切り返しを生み出した(個人的な主観でしかないが俺はそう思ってる)ことともきっと重なり、カメラは単なる記録を超えた記憶そのものとしての役割を担う装置として吉田を映画の制作へ駆り立てたんじゃないかと、行きすぎた妄想をしている。
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