Jun潤

17歳は止まらないのJun潤のレビュー・感想・評価

17歳は止まらない(2023年製作の映画)
4.1
2023.08.14

予告を見て気になった作品。
『神回』同様、東映ビデオが主催の「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」にて第一回製作作品に選ばれた作品。

農業高校の畜産科に通う木村瑠璃(通称:るー)。
同年代の男子、特に学園祭で出会ってからアプローチを重ねてくる他校の田中くんには興味が無く、森先生に熱を上げている。
そんな瑠璃がもう一つ好きなものは動物。
愛玩動物も食用動物も大好きで、食べる命への感謝も忘れない。
17歳の瑠璃の真っ直ぐな愛情は一度走り出したらもう止まらないし、17歳に降りかかる刺激的な日々もまた、誰にも止められない。

畜産を通した食育×背伸びしたがる恋愛の新たな青春恋愛映画、ここに爆誕!
後半に差し掛かった頃に少しだけ鳴りを潜めてしまいましたが、高校生らしい恋愛や友情の様子と、自分で育てた命をいただくということを身をもって学んでいく様子を交互に、それも急速なスイッチングで描いていくのが印象的でした。

まずは恋愛描写について。
17歳の男女、広く言えば特に10代後半から20代前半の男女に関していうと、女の子の方が精神年齢は高いよなと常々感じていますが、それが今作で顕著に描かれていたと思います。
ちゃんと愛情を持って育てた上で、自分の手で命を奪り、自分で食すことで他の命をいただいて生きているということを日々実感しているるーと、無知か幼さ故に屠殺行為は残酷と口に出してしまう田中くん。
るーは同世代の男子をチンパンジーとして見ていても、森先生には多少(だいぶ?)強引な手段に出てでも、ストレートに想いを伝えて、大胆な行動に出る。
森先生に軽くあしらわれ、自分の想いが届かなくても、幼稚で童貞な田中くんにはオナニーの手伝いや駆け落ちを提案したりしてからかってばかり。
そんな甘酸っぱくもあり、ちょっとの生々しさもある、青春映画の魅力がギュギュッと詰まっていた印象です。
森先生も教職の責任感からるーのことをあしらっているのかと思いきや、そこはちゃんと中島歩、多分るーの必死の懇願に対して脳内では理性と本能の間でグラグラだったんじゃないですかね。

そして食育について。
これに関しては強い興味や意欲も無いのに教室で豚を飼うよりも、今作のような自分の意思で屠殺を行う人々の姿を描いた作品を授業で見せた方がよっぽどためになると思いましたね。
しかしそうなると、今作では言及されていなかった、畜産科へ進学して通学し続ける生徒達の意思はどこから芽生えることになるのか。
小学生か中学生の頃に授業で屠殺の映像を見せられて感想を書いて、人生が左右されるほどの価値観の揺らぎを感じなかった僕からすると、そういう授業の必要性すらどうなんだろうと考えていましたが、今作のるー達のように、自分の意思でその道へ進む覚悟を芽生えさせるきっかけとしては、もしかしたら必要なのかもしれませんね。
Jun潤

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